未来が見えても、変わらないもの『メッセージ』

映画

地球上に、未知の生命体が突如として現れる。どこから来たのか、目的は何か、何もわからない。

どのようにコミュニケーションを取ればいいのか、人類はもがき始める。『メッセージ』はそんな映画である。

未知の生命体から人類に何かメッセージが託されるというストーリーは、クリストファーノーランの『インターステラー』と似ている。

しかし、この映画では『インターステラー』のような壮大なSF冒険譚は展開されることはなく、あくまでもエイリアンと人類との間で交わされる、コミュニケーションを主軸としている。

面白いのは、未知の生命体、エイリアンとのコミュニケーションの「わかりあえなさ」というテーマが、人類同士のコミュニケーションにも引き継がれているという点だ。

例えば作中では、国家間のコミュニケーション、軍部のコミュニケーション、カップルとのコミュニケーションというものが並行して行われていく。

そこには、エイリアンとの意思疎通を図ろうとするプロセスと同質のものが、引き継がれている。

他言語を習得するということが、人間の思考に影響するという学説を用いて、言語学者の主人公がエイリアンの思考を獲得していくプロセスが面白かった。

この映画を特殊なものとしている要素の一つに、「未来視」が選択に関わってくるということが挙げられる、

「もし未来を見ることができるならば、どのように生きるのが良いのだろうか」

『メッセージ』は、このような疑問を視聴者に投げかけていく。

エンディングテーマ「On the Nature of Daylight」の心を掻き立てる旋律の素晴らしさにも、感動した。

個人的に、かなり好きな作品である。

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