「落伍者として生きてもいい」という消極的な人生訓『暗い青春・魔の退屈』

『暗い青春・魔の退屈』 なんと憂鬱なタイトルだろうか。中身もちゃんと憂鬱だった。僕はこの本を読んでいた時、安吾の悩みが自分へと乗り移ったような感覚を得て、眠れなくなった。 教科書的には『堕落論』で有名な坂口安吾の自叙伝集。 ...

穏やかな海の中で、静かに老人は対話を始める『老人と海』

「闘う」老人は言った。「死ぬまで戦ってやる」だが、いまは闇につつまれ空の明るみも陸の灯も見えず、風だけが吹いて帆が舟を引っ張っている。(p122) 『老人と海』はアメリカの文学者、ヘミングウェイの書いた短編小説である。 ...

自分の一時間って、いくらなんだろう『三日間の幸福』

現在、北海道の最低賃金は900円である。今はやめてしまったが、僕が初めてバイトをした居酒屋も時給は900円だった。 アルバイトの仕組みは、一見すると単純なものである。雇用された店に対し僕たちは労働力を提供し、その対価として僕らはお金...

自分の中に「もう一つの国」を立ち上げるための映画読本『若き日の映画本』

ある一本の映画を見たことで人生が変わったという経験は、全ての人ではないにせよ、一定数の人が持っている経験であると思う。 『若き日の映画本』は、そんな一本の映画に人生を変えられた経験をした人々が、それぞれの思いを携えて、映画について語...

「真剣に生きる」ことについて、紙面に叩きつけられた情熱がそこにある『自分の中に毒を持て』

自分自身の生きるスジは誰にも渡してはならないんだ。この気持ちを貫くべきだと思う。p28 先週、僕は東京にある岡本太郎記念館に行った。実際に岡本太郎の作品に触れることで、僕は彼の思想と作品を比較していろいろと考えた。 関...
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