大洗は、「ガルパンの町」としていかに変容したか。(昔の期末レポートその②)

雑談

こんにちは、各駅停車です。期末レポートがきついので、前回の記事と同様に、今回も1年生の時書いた期末レポートを貼り付けて、ブログの手を抜こうと思います。

これはメディア関連の授業に書いたレポートで、アニメ『ガールズ&パンツァー』(ガルパン)を題材にしています。

「ガルパンの聖地、大洗を巡礼したらマジでガルパンの世界で泣いた」みたいなことを書いたら、A+を貰えました。やったぜ。

一応注意ですが、コピペはやめてくだい。まあ、ガルパンを期末レポートの題材にする人なんてそもそもそんないないだろうけど…

大洗は、「ガルパンの町」としていかに変容したか。

1.序論

「人々は観光から逃れられない」

そんな強迫的な文言からスタートした西授の講義は、筆者に大きな驚きを与えた。特に、社会学的な知見を交えて理論的な観光論を紹介する部分に、筆者は感銘を受けた。

筆者の観光に対する考え方というのは、「おいしいものを食べ、絶対に外さない観光地を巡り、いい温泉に入る」という、いわばヒルナンデスやじゃらん等で見られるような、人間の欲望に忠実で安直な考え方であった。

しかし、教授の提示した観光の図式は、筆者の観光観に新しく明瞭な視野を与えた。近代社会によって生み出された労働/余暇の対立項によって観光が生まれたということや、その観光はメディアの活用によって拡散され、消費されるということ、それらは観光をヒルナンデスやじゃらんとは違ったレイヤーで見つめる視点であると思った。

さらに、そういった観光観に従って自分が過去に成した観光を捉えなおすのは、きっと面白いはずだと考えた。

よって筆者は、教授のレポート課題を選択した。

しかしながら、筆者は理論的な観光論、つまり講義で紹介されていたギデンズやUrryといった、社会学的な知見を不勉強ゆえ持ち合わせていない。

よって、本稿ではそれらの基礎的な観光論について詳しく言及することを避け、筆者自身の観光体験と読書体験を活用することで、テーマである「メディアによる観光対象/景観の(再)構成」について述べていこうと思う。

では、「メディアによる観光対象/景観の(再)構成」について語る時に、筆者の語ることとは具体的になんであろうか?

それは、「聖地巡礼」である。アニメやドラマ作品の舞台となった土地(聖地)を巡る「聖地巡礼」について筆者は語りたいと思う。

筆者は去年の夏休み、アニメを中心とするメディアミックス作品、『ガールズ&パンツァー』の舞台となった町、茨城県大洗町を観光した。

本稿では『ガールズ&パンツァー』(メディア)によって再構成された大洗町(観光対象)を取り扱っていきたい。

本項の流れについて説明する。

まず2-1において本稿で取り扱う大洗町と、作品『ガールズ&パンツァー』の結びつきについて、筆者の持つ知識を共有する。そして、数字から見て取れる大洗町と『ガルパン』の関連性を見ていく。

続く2-2では、筆者が実際に行った観光体験を交えて、いかに『ガールズ&パンツァー』によって大洗町の景観が再構成されたかを具体的に検討していく。

2.本論

2-1.大洗町と『ガールズ&パンツァー』について

大洗町は茨城県の北部にある海に面した町である。

大洗町はそもそも『ガールズ&パンツァー』の聖地(舞台となった土地)である以前に、関東の観光地としてそこそこの知名度を誇っている。北関東の中では有数の人気観光地となっており、「大洗サンビーチ海水浴場」「大洗磯前神社」「アクアワールド」といった観光スポットも充実している。

さらに、北海道の苫小牧から出発するフェリー「さんふらわあ」が寄港する場所でもあるため、本州と北海道を移動する自転車乗りやバイクのライダーたちには、大洗町は旅の中継地として人気を得ている。(筆者も自転車で実家に帰省するためにフェリーを利用した。)

そのように知名度もあり、観光スポットも充実している大洗町ではあるのだが、2010年までは、観光客が年々減少する傾向が続いていた。

更に2011年の東日本大震災が大きな打撃となって、大洗町は深刻な危機に陥った。町の主産業である水産業が落ち込み、海水浴客は前年比10分の1以下となる4万5千人までに落ち込んだ。

しかし、大洗町の苦境はそれだけではなかった。津波に晒され、相当の被害を受けていた大洗町であったが、「被災地」としてメディアに取り上げられることが少なかった。

東日本大震災当時の大洗の状況を振り返って、『ガールズ&パンツァー』のプロデューサーであるバンダイの杉山潔はこう述べている。

「東日本大震災の直後、私自身も宮城県と福島県を回りまして、その被害の大きさに打ちのめされたりしました。そうしてみると、震災報道の中でエアポケットに入ったのが北茨城だったんではないかと感じたんです。

東北の様子は良く報じられていたし、千葉の幕張や浦安の話題も出てきた。でも北茨城は、そういう話題に出ることが極端に少なかった。

(中略)報道のエアポケットに入った大洗に何かスポットを当てるようなことができないかな、と思うようになったんです。」

(杉山潔,「自衛隊と大洗町、そのパイプ役として」,2014(ガルパン取材班編,『ガルパンの秘密』,2014)p37)

引用文から見て取れるように北茨城に位置する大洗町は、「報道のエアポケット」であり、「被災地」として顧みられることはなかった。

そんな大洗町を復興させる目的もあって、『ガールズ&パンツァー』は大洗町を舞台に選んだのだった。

ここで筆者は、先ほどから登場している『ガールズ&パンツァー』について解説しなければならない。

『ガールズ&パンツァー』(以下『ガルパン』)とは、「大洗女子学園」に所属する女子高生の主人公たちが、日本の伝統芸能である「戦車道」を通じて成長していく青春ストーリーである。

女子高生たちは「戦車道」の大会で優勝することを目指し戦車に乗り、日々大洗の町で演習に励む。

説明を書いている自分でも頭が痛くなってくるが、突飛な設定とは裏腹に、その人気は根強い。2012年にアニメが開始されてから現在に至るまで、漫画、CD、映画と媒体(メディア)を問わず様々な商品展開がなされている。(2021年には劇場版6部作の3作品目が公開された。)

筆者が思うにこの作品の魅力は、なんといっても作中で女子高生によって展開される、大洗市街地での迫力ある戦車戦である。

特に、アニメで描かれる戦車戦は至高である。その極めて卓越した映像表現の中には、制作陣の数多くのこだわりが散見される。

最新の3DCGを用いて再現された戦車に始まり、戦車の揺れを再現し、戦車の動きと連動して旋回するカメラワーク、戦車ごとに異なる効果音、音の反響までを意識した環境音、アイコンタクトまで描写する徹底したキャラクター表現、実際に脚本家が模型を用いることでシュミレーションされた試合展開など、その緻密に設計された映像から筆者はある種芸術的な美しさを感じてしまう。

そういった戦車戦が直接的なきっかけの一つとなり、2012年の『ガルパン』アニメは圧倒的な成功を収めた。この、『ガルパン』のヒットを契機に、メディアによる「大洗=戦車戦」というイメージが作り出された。

海水浴を中心とした、北関東有数の観光スポットである大洗は、東日本大震災を経由したのち、「『ガルパン』の町」として再構成されたのである。

では、「『ガルパン』の町」として、大洗はどのように変わったのか?

実際に大洗の観光景観がどのように変わっていったかについての言及は次の2-2に譲るとして、ここでは具体的な数字を見ていこう。

まず、『ガルパン』以前/以後の「大洗あんこう祭り」の来場者数の推移を比較してみる。

「大洗あんこう祭り」は1998年、茨城の特産物であるあんこうを堪能するイベントとしてスタートした。毎年多くの観光客を動員していたが、東日本大震災で大洗町の観光客数が落ち込むと、来場者は前年の70%である3万人に下がってしまう。

しかし、2012年に『ガルパン』のアニメが放送されると、その数字は急激に上昇する。

2012年に過去最多の6万人を動員したのち、2014年には10万人、『ガルパン』の劇場版アニメが公開された翌年の2016年には13万人、コロナ前最後の開催である2019年には過去最多の14万人が「大洗あんこう祭り」を訪れた。

この数字は、『ガルパン』ファンが、リピーターとして何度も「あんこう祭り」を訪れたことを示していると筆者は考える。

(「大洗あんこう祭」についての記述は、Wikipedia,2021,「大洗あんこう祭」online:https://ja.wikipedia.org/wiki/大洗あんこう祭 に依る。)

次に、大洗町のふるさと納税の額の推移を見ていく。

図 1 大洗町 平成20年度~令和2年度 ふるさと納税金額の推移

(出典「ふるさと納税.tax」,2022,「茨城県・大洗町のふるさと納税 統計データと返礼品」online:https://furusato-nouzei.tax/city-data/ibarakiken/ooaraimachi/)

図1から、大洗のふるさと納税額は平成26年度(2014年)から平成27年度にかけて爆発的に上昇している。

具体的な数字でいえば平成26年度(2014年)には7,631,000円であった納税総額が、平成27年度(2015年)には202,646,000円となっている。これは文字通り、桁違いの差となっている。

この、ふるさと納税額の推移も『ガルパン』の効果であると筆者はみている。

なぜなら大きな変化の起こった2015年は、ふるさと納税の返礼品に『ガルパン』の関連商品が初めて追加された年だからである。

ライターの片渕陽平によれば、2015年の12月、年内のふるさと納税の「駆け込み需要」を満たすために、大洗町は『ガルパン』と地元の特産品をコラボレーションさせた返礼品を追加した。

すると、その直後からふるさと納税は爆発的に増え、12月の1か月間だけで1億6000万円もの納税が起こったと片渕は述べている。

(片渕,2016,「『ガルパン』聖地の大洗町、ふるさと納税に1カ月で1億6000万円 返礼品にコラボ商品を追加」

online:https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1601/08/news136.html)

ここまでで、「大洗あんこう祭り」とふるさと納税、この二つの事例から数字上で大洗の変化を追ってきた。この変化は、メディアの影響により「『ガルパン』の町」として大洗が認識されたことによる変化であると筆者は考える。

以上、2-1では大洗町と『ガールズ&パンツァー』についてまとめた。海水浴場として著名な大洗は、東日本大震災を経て、メディアミックス作品の舞台となり、新しく「『ガルパン』の町」へと再構成された。

その変化は数字の上でも容易に見て取れるものだった。

2-2『ガルパン』は如何に観光景観を変えたか?

前項2-1では、数字上に表れる大洗の変化を確認した。

この項では、「『ガルパン』の町」として、大洗の町の観光景観はどのように変わっていったのかを、筆者の観光体験を交えて具体的に述べていこうと思う。

ここで筆者は、議論を分かりやすくするために、二つの事象を取り上げて、それらを議論の軸として考えていきたいと思う。

その二つの軸とは、スマートフォンアプリの「舞台めぐり」と、大洗町が『ガルパン』と提携した企画「街なかかくれんぼ」である。

この2つについては後で詳細を述べていくつもりだが、とりあえずこれら2つの特徴を提示するならば、前者は「聖地巡礼」を行うファンが自発的に大洗の町から『ガルパン』の景観を「読み込む」事象であり、後者は大洗側がファンに対して『ガルパン』の景観を「読み込ませる」事象である。

まず、前者の「舞台めぐり」から検討していこう。

(ⅰ)「舞台めぐり」

「舞台めぐり」は、ソニーミュージックが運営する、「聖地巡礼」を補助するスマートフォンアプリである。

「舞台めぐり」のアプリ内では「聖地」(=作品内で登場したスポット)が明記された地図が表示され、ユーザーは「聖地」をスムーズに効率よくめぐることができるようになっている。

(図2)「聖地」が表示されるアプリ「舞台めぐり」上の地図(著者の撮影した「舞台めぐり」のスクリーンショット

また、アプリと位置情報を共有することで、ユーザーはそれぞれの「聖地」に「チェックイン」することができ、実際「聖地」を何か所めぐったのかということを登録することが出来る。(図3)

図3 位置情報共有を用いた「聖地」への「チェックイン」(著者の撮影した「舞台めぐり」のスクリーンショット)

筆者は実際にこの「舞台めぐり」を用いて大洗の町を自転車で徘徊し、計73か所の「聖地」に「チェックイン」した。

実際に「聖地巡礼」をした時の感覚というのは、なんの変哲もない交差点や、神社の階段、駅前のコインランドリーの景観が、「舞台めぐり」で『ガルパン』の「聖地」であると同定された瞬間に、自分の中で違った価値を帯びていくような感覚である。(図4,5)

図 4,5 「聖地」「コインランドリー前」の景観

上:著者撮影/下:「舞台めぐり」内で表示されるアニメ『ガルパン』の場面ショット

アニメに登場し、そのフレームの中でキャラクターたちが動き回った景観が、自分の眼前にある。

そして『ガルパン』という作品のイメージを読み込みながら、キャラクターが動き回ったその景観を、筆者は「動きなおす」。

その瞬間、筆者は『ガルパン』の作品を追体験するというよりもむしろ、『ガルパン』の世界の中で筆者自身の新しい体験が生成されていく感覚にとらわれた。

「舞台めぐり」を用い、『ガルパン』の作品にみられた景観を自発的に読み込むことで、大洗の観光景観は『ガルパン』世界のモノへと再構成されていくのだ。

(ⅱ)「街なかかくれんぼ」

(ⅰ)「舞台めぐり」は、ファン側が『ガルパン』のイメージを読み込むことで大洗の景観を再構成する事例であった。

他方、「街なかかくれんぼ」は大洗町側がファンに『ガルパン』のイメージを読み込ませ、景観を再構成させる事例である。

「街なかかくれんぼ」は、株式会社Oaraiクリエイティブマネジメントを経営する常盤良彦(ときわよしひこ)が立案した企画である。

常盤は2013年3月に大洗で開催された祭事、「海楽フェスタ」と連動して、企画「街なかかくれんぼ」を実行した。企画の内容は、大洗商店街を中心とした大洗町の各店舗に、計54個の『ガルパン』のキャラクターパネルを展示するというものであった。

展示されるキャラクターは店舗ごとに異なる。(図6,7)

図 6 民宿旅館「いそや」が担当するキャラクターパネル「沢梓(さわあずさ)」

図7 「いそや」は旅館の一部屋をまるまるキャラクター専用の部屋としており、その部屋にはキャラクターパネルだけではなく、膨大な量のキャラクターグッズや、「聖地巡礼」をするファンたちの交流を促すノートが置かれている。(著者撮影 撮影許可取得済み

それぞれの店舗を巡りキャラクターパネルの写真を蒐集する『ガルパン』ファンが、結果的に大洗の店舗にお金を落としていくことで、「街なかかくれんぼ」は成功をおさめた。

当初数か月間を想定していたパネル展示は今現在も続いており、大洗の各店舗には、文字通り看板娘となった『ガルパン』のキャラクターが散らばることとなった。

ライターの石井誠は、「街なかかくれんぼ」が『ガルパン』ファンに与えた影響について、このように述べている。

「舞台となった町の風景と、各所に配置されたキャラクターの姿を見るために、多くのファンが町の中を歩き始めることになる。

大洗の商店街は、空襲に遭っていないため、築100年を超える古い家屋が多く、その佇まいは古き良き昭和の空気を残している。

街中を歩けば、作品の舞台となった風景の中に、懐かしい思いにも駆られる風情を感じ、そこで暮らす町外者を温かく迎える町の人たちとの交流をファンは体験することになった。」

(石井誠,「ルポ『ガルパン』が紡いだ地元とファンの不思議な関係」,2014(ガルパン取材班編,『ガルパンの秘密』,2014)p122-123

この「街なかかくれんぼ」についての言及は、筆者にとって大変興味深いものである。

というのも、この文章は『ガルパン』ファンが「『ガルパン』のまち」としての大洗を歩き回ることで、かえって『ガルパン』を捨象したノスタルジックな大洗の景観を再構成することを示唆しているからだ。

『ガルパン』のキャラクターに出会うために商店街を歩くファンたちは、同時に「古き良き昭和の空気」「懐かしい思いにも駆られる風情」を景観から感じ取る。

その時発見した景観というものは『ガルパン』のイメージを介さない、新しく独自に形成された大洗像である。

たしかに、筆者が観光した大洗の景色を思い浮かべる時、脳内に立ち現れる風景は『ガルパン』のイメージを内包した景色だけではない。

大洗の海岸線、大磯神社の前に荘厳とそびえたつ大鳥居、夕日に染まる商店街など、『ガルパン』を介さないプリミティブな景観の美しさも筆者は体験している。

それらの景観は、筆者が『ガルパン』の風景を探して自転車で大洗を回ったことにより、逆説的に獲得した非『ガルパン』的な美しさだと考える。

「街なかかくれんぼ」は、大洗側がファンたちに『ガルパン』の景観を読み込ませようとする試みである。店舗ごとにキャラクターパネルを分散して配置することで、大洗側はファンたちに町を歩かせる。「『ガルパン』の町」として大洗を歩くファンたちは、その『ガルパン』のイメージを維持しながら、町を巡ることで、かえって新しい大洗の景観へと開かれていくことになる。

さて、この項(2-2)では「舞台めぐり」と「街なかかくれんぼ」、二つの軸を媒介して、「『ガルパン』は如何に観光景観を変えたか?」という問いを検討してきた。

その問いに対する筆者の解答は、「『ガルパン』の「聖地巡礼」によって起こる大洗の観光景観の再構成は、たしかに「『ガルパン』の町」としての大洗を生み出すものではあるが、決してそれだけでは終わらない」ということである。

メディアミックス作品、『ガルパン』のイメージを読み込むことで再構成された大洗の町は、ファンが『ガルパン』の「聖地」やキャラクターパネルを巡る中で、さらに新しい景観へと変わっていく。

メディアを通じて得た『ガルパン』のイメージを、「聖地巡礼」という実地の体験に落とし込むことによって、ファンたちは大洗の町を歩く楽しさ、さらには自分にとっての大洗町の景観を発見していくのだ。

そしてその景観の変化は、『ガルパン』のファンと大洗町側の人々が、「『ガルパン』の町」という大洗町のイメージを共有することで、逆説的に生まれていったのだと考える。

3.結論

本稿では、メディアミックス作品『ガールズ&パンツァー』が如何に茨城県北部の町、大洗町との接点を持ったか、また『ガルパン』を通じて大洗の景観はどのように変わっていったのかを検討してきた。

東日本大震災で被害を受けたものの、「報道のエアポケット」となりあまり注目されなかった大洗町は、『ガルパン』の舞台に選ばれることでその復興を大きく進めた。

ひとたび「大洗町=『ガルパン』の町」というイメージが共有されると、多くの『ガルパン』ファンが大洗を訪れ、また大洗にお金を落としていった。そのファンの動向は、「大洗あんこう祭」の来場者数やふるさと納税の寄付額といった数字上でも確認することができる。

また、ファン側が『ガルパン』の景観を読み込む「舞台めぐり」、大洗側が『ガルパン』の観光景観を読み込ませる「街なかかくれんぼ」、そういった事象が相互に影響しあうことにより、大洗町の観光景観には劇的な再構成が起こっていることが分かった。

メディアから受け取ったイメージによって、大洗町は「『ガルパン』の町」として再構成される。しかし、それだけではない。『ガルパン』を通じて大洗町の町を実際に歩くことにより、「聖地巡礼」をするファンはむしろ独自の大洗の景観を発見し、新たな景観再構成へと開かれていくのだ。

参考文献

杉山潔,「自衛隊と大洗町、そのパイプ役として」,2014,ガルパン取材班編,『ガルパンの秘密』,2014, 廣済堂,p30-41

石井誠,「ルポ『ガルパン』が紡いだ地元とファンの不思議な関係」,2014,ガルパン取材班編,『ガルパンの秘密』,2014,廣済堂,p118-125

Web文献

片渕,2016,「『ガルパン』聖地の大洗町、ふるさと納税に1カ月で1億6000万円 返礼品にコラボ商品を追加」(2022年2月1日閲覧)

(online:https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1601/08/news136.html)

「ふるさと納税.tax」,2022,「茨城県・大洗町のふるさと納税 統計データと返礼品」(2022年2月1日閲覧)

(online:https://furusato-nouzei.tax/city-data/ibarakiken/ooaraimachi/)

Wikipedia,2021,「大洗あんこう祭」(2022年2月1日閲覧)

(online:https://ja.wikipedia.org/wiki/大洗あんこう祭)

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