夢をつかみ取り、無垢を連れてくるマルチクリエイター、はるまきごはんを紹介!

雑談

こんにちは、現役文系北大生の各駅停車です。今回は、僕の好きなボカロPである「はるまきごはん」さんを紹介します。

はるまきごはんとは

はるまきごはんは作詞・作曲・編曲・歌・アニメーション・動画編集を全て「一人で」こなすというとんでもない才能を持った、北海道出身のマルチクリエイターです。

2014年にニコニコ動画でボカロPとして活動を開始。

その後2016年の9曲目「銀河録」でヒットしたのち、徐々に知名度を上げていき、2018年に「メルティランドナイトメア」を世に出すことによって、「歌も映像も全部一人でこなすボカロP」としてその地位を確たるものにします。

2019年には初めてのワンマンライブ『ドリームシネマ』を開催しています。

2020年からは自身でアニメーション制作スタジオ「はるまきごはん」を立ち上げている他、2022年に入ってから本格的に展開されたプロジェクト、『幻影』においてはプロデューサーとしての才能も見せています。スマホゲーム、個展、ブックレット付アルバムを並行して発表し、それをディレクションすることによって、はるまきごはんはクリエイターとしてまた新たなステージへと進んでいます。

また、個人を超えた活動として、歌い手のそらるやスマホゲーム『プロジェクトセカイ』に楽曲を提供している他、2021年には人気ボカロPを集めて共作するコンピテーションアルバム、『キメラ』の主催をしています。

はるまきごはんの魅力

クリエイターとしてマルチな才能を発揮するはるまきごはん。その作品の魅力はどこにあるのでしょうか?

僕が思うに、はるまきごはんの作品の魅力は大きく分けて二つあります。

一つ目は、刺激的で浮遊感のある「夢」の世界を表現しているところ。

netflixで見られるweb番組「アルスくんとテクネちゃん」の中で、はるまきごはんは自身の創作活動の源泉について、こう語っています。

「夢で飛ぶことができるんですけど」「夢の中で高い塔に上ることが多くて、そこから見る景色が結構元になっているんですよ」

「アルスくんとテクネちゃん」

はるまきごはんは作品を作る際、自身が夢で見た風景や体験を思い出し、それを再構築しているのだと述べています。え?なにそれ…(畏怖)

小さい頃からですね。夢は現実より大冒険になるので、現実よりも感動したり、心が動いたり、達成感がある瞬間が多くて。現実世界以上の感動や体験があると思うんです。

はるまきごはんは宇宙人との遭遇を求める 未知にしか希望がない | CINRA

はるまきごはんは自身の作品の中に、彼が見た夢の世界を連れてきます。そしてその世界は現実よりもきれいで、僕たちに劇的な体験をもたらしてくれます。

彼が「夢」という独自の創作の源泉を持っているということはそのまま、浮遊感のある特徴的な作品世界を作り出すという彼の魅力に直結しているのです。

はるまきごはんが夢の中で見た幻想的で、恍惚とした情景というものは、必ずしも『きっと夢の中ね』や『ドリームレスドリームレス』という直接的に夢について歌われた作品だけに現れるわけではありません。むしろ、彼の作る全ての作品の中に、共通して表出するものとなっているのです。

ちなみにはるまきごはんはさらにこんなことも言ってます。

「最近は夢で飛ぶことが楽しすぎて、なんで現実でも飛べないんだって思ってますね」

「アルスくんとテクネちゃん」

…言ってることが天才のそれ過ぎて怖い…

はるまきごはんの二つ目の魅力として挙げられるのは、はるまきごはんは常に「無垢が崩れていくときのはかなさや美しさを歌っている」ということです。

はるまきごはんは初期作品から今まで、徹底して「無垢な二人の少女の関係性」を歌っています。

はるまきごはんの作品の中に現れる二人の少女はみな「泣きたいほど純情」(『メルティランド・ナイトメア』)であり、「馬鹿正直な二人」(『秘密』)であり、相手を「呼吸よりも当然なあなた」(『彗星に慣れたら』)と無批判的に受け止めます。はるまきごはんの物語に出てくる少女たちはおしなべて「無垢で無知な子ども」として表現されているのです。

そしてはるまきごはんは、「無垢で無知な子ども」である少女たちの関係性が崩壊していく瞬間を切り取り、その切なさや悲しさを作品にしていきます。

大人になり、知識をつけ、ものごとを純粋に捉えられなくなっていく…。かつて見ていた、輝いていた世界が終わりを迎える…。

そういった変化を、はるまきごはんは「夏の終わり」「宇宙の終わり」「世界の終わり」「夢の終わり」そして「少女たちの関係性の終わり」になぞらえることで表現していきます。

無垢であるものが、無垢であるがゆえに傷つく。はるまきごはんはそのような「無垢が崩れていくときのはかなさや美しさ」を歌っているのです。そしてそれは確かな強度を持って僕たちの胸を打つことになります。

ではなぜ、はるまきごはんはそういった「悲しさ」にフォーカスするのでしょうか?

それについて直接的な理由を答えることはできませんが、彼が「人工的な悲しさ」に美しさを感じるということは指摘しておかなければならないでしょう。

彼は、このようなことを言っています。

「人工的な切なさとか人工的なさみしさに魅力を感じる」

「ふつうに暮らしていて、人と触れ合ったりして発生する悲しみとかは…本当に悲しいけど、自分の手によって生み出された仕掛けによって生み出された悲しみにはなんか美しさを感じるというか」(「アルスくんとテクネちゃん」より) 

はるまきごはんが自身で作り上げた作品世界の中で、調和のとれた美しい悲しみを求めています。彼がなぜそういったものを求めるのかということは、今後の作品や表現活動の中で分かってくるのかもしれません。

はるまきごはんのおすすめ曲5選

ここでは僕の好きなはるまきごはんの曲を5つほど紹介したいと思います!

・『フォトンブルー』

別れてしまった「君」と過ごした夏を追憶して歌う、寂しい歌。画面一面に広がった藍色が特徴的です。

鉄塔や線路、秘密基地といった夏の風景を、「ふたりで(一緒に)覚えておいたから」君がいなくなると忘れてしまうという歌詞のメッセージが刺さります。

夏とノスタルジーってなんでこんなに合うんだろう…

・『コバルトメモリーズ』

舞台は全てが滅んだあとの、誰もいない世界(ポストアポカリプス)。

二人の少女が音楽と共に、海をバックに歩きます。

時に、ラジオや波の音に気持ちを託しながら、夏が終わるまでの一瞬を歌っています。

・『メルティランドナイトメア』

はるまきごはんが得意とする「夢の中の世界」そして「無垢な関係性」を最も純粋に打ち出した一曲。はるまきごはんの出世作。ディカプリオでいう『タイタニック』。

yotubeでは現在(2022年10月)で1100万回以上再生されており、はるまきごはんの作品の中では最も再生数が多い。

夢の中で過ごせる時間が有限であるということ、それでも夢の中で体験することがいとおしいということを歌っています。リズムに乗っている女の子がかわいい(1:21)

・『約束』

「驚くほど 無垢にまみれ」(0:42)

「恋のコの字も知らないからさ 二人は世界で一番汚れなくいられる」(1:05)など、はるまきごはんの「無垢さ」「無垢であることの美しさ」に対する性癖が存分に表れている作品。

僕は「ラスサビで普通のサビから音程をずらしてくる曲大好きおじさん」なので、ラスサビの「こんなァッ!物語をォオ!」の部分をはじめて聞いた時気持ちよすぎて死んだ。

・『第三の心臓』

この『第三の心臓』の映像を見て、はるまきごはんの持つ夢に対する解像度はこの作品においてさらに上がったんだなという印象を受けた。1:00~の桜の木をバックに二人のシルエットが重なりながら一方がこちらを見つめてくるシーンとか、1:58~ぐらいの桜の中でブランコが崩れていくシーンとか、起きてるときに、シラフデ思い浮かんでくる情景じゃないだろ…と本当に思う。

以前アニメーション監督である今敏の作品を見た時、「こいつ普段何喰ってたらこんなの思い浮かぶんだ…」という感想を僕は持ったが、『第三の心臓』を見た時もそう感じた。はるまきごはんの脳内は『パプリカ』。

まとめ

以上、マルチクリエイター、はるまきごはんの紹介をしてきました。

夢の世界から表現をつかみ取り、無垢さを連れてくるはるまきごはんの作品に、ぜひ触れてみてください!

YouTube:はるまきごはん / Harumaki Gohan Official 

Twitter:@harumaki_gohan

Instagram:harumaki_gohan

Pocket
LINEで送る

コメント

タイトルとURLをコピーしました