tohoシネマズ新宿でミスチル映画「gift for you」を見る。いい映画だった。とても。
正直ミスチルファンなんてミスチルが好きで脳が焼かれているから、ライブ映像を適当に張り合わせた2時間の映像を見たって満足して帰っていくと思うんですよ。
でもこの映画はちゃんとつくってあった。それがまずよかった。
30周年ライブ「半世紀へのエントランス」のライブ映像を中心としながら、そのライブを体験した人、ライブに携わった人、そしてもちろんミスチルのメンバーの言葉をまとめて、一つの「体験」としてMr.Childrenの30周年を発信している。
今、この時期だからこそやる必要のある映画に「gift for you」はなっている。
映画館で見るミスチルはすごい。まず、大画面でライブ映像を観れる楽しさがある。
パソコンの画面とは違って、ギターのコードとか、ナカケーのガンギマってる顔とかを細かく観察できるのが楽しい。
でも、それよりいいのは音響だった。映画館で聞くミスチルはすごい。音が衝突する。気圧される。ぶつかってくる。
桜井の「どうもありがとおぉ」の「ぉ」がいつもより余韻をもって聞こえる。
この映画を観て気づいたけど、桜井MCうますぎるな。人を惹きつける能力がすさまじい。時代が時代なら「将」になってる。
『エソラ』の途中で「まだ行ける」とかいってるの、マジで敵地で歩兵を鼓舞する時のそれ。六大将軍、桜井和寿。
ライブ映像はシフクノオトツアーを思わせるように開幕『終わりなき旅』から始まり、『innocent world』『Any』『シーソゲーム』『documentary film』などの、定番な人気曲が続く。
そんなかで僕が良いと思ったのは『エソラ』と『Your song』だ。
これはもう映画館とか関係ないのかもしれないけど、ライブの『エソラ』のイントロはやっぱり気が狂うほど好き。POPSAURUS2012のやつも然り。
確実に人間の精神を高揚させる何かが音の中に含まれている。新興宗教で使われてもおかしくない。
そして『Your song』。アコースティックアレンジがおしゃれでずるい。マジで感動して、ハイになってる時のJENみたいに口開いてた。
僕は映画を観ている最中で何度も思った
「歌っちゃダメなのか?」
映画の前、いつものように「上映中は声を出さないように」という注意喚起の映像が流れた。
けど、この映画に限っていえば歌ってもいいんじゃないか?
全曲じゃなくてもいい、口笛とinnocent worldのサビとGIFTのラララの部分だけ歌わせてくれませんか…いいだろ…どうせ見てる観客も同じミスチルファンだろうし…
声を出せないことに歯痒さを感じていた。これは実際に「半世紀のエントランス」に行った人と同じ気持ちなのかもしれない。
映画の楽曲と楽曲の間を繋ぐように挿入される,ミスチルファンの語りもいい演出だった。
離婚、留学、中絶、挫折…人生の辛い瞬間にミスチルに励まされた人たちの声が記録されていた。
僕も、こんなふうにより強度を持ってミスチルを聞きたいと思った。
高校時代、マジで部活がしんどい時に聴いていたヨルシカとかずとまよとかorangestarの曲とかは、今でもよく覚えている。そんな曲たちのように、苦境の中でミスチルの曲を聴くことで、ミスチルの曲をもっと鮮明に記憶したい。
僕は2023年、自分から逆境に飛び込んで、ミスチルをより強く、深く聞けるようになりたいと思った。年明けにこの映画を見れてよかった。
晴れやかな気持ちでtohoシネマズ新宿を出ると、そこには歌舞伎町が広がっていた。

歌舞伎町はマジで汚かった。一言でいえば「醜」。副都心の抱える「汚さ」の上澄みがそこにはあった。
しかし「gift for you」を見た後の僕は、その汚さにあまり嫌悪感を抱くことはなかった。ミスチルの桜井が「どんな場所にいても光を感じれる」ように、この世界を肯定する姿勢のようなものが僕には生まれていたのだ…。
…いや、冷静になって考えてみるとやっぱり汚すぎるなこれ、小池百合子、不法投棄を何とかしてくれ。
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